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パリ その8 治安考察 (2013.6.27〜7.1)

momoと一緒にヨーロッパ旅行ということで,パリが第一選択肢であった。しかし,パリにはいくつかの懸念があった。一つは,リビアの内戦にフランス軍が関わっていたために,フランス国内でテロが起きる可能性がゼロではないということ。
もう一つは,スリなど,観光客をねらった犯罪が比較的多いことである。まあ,そう言っていれば,どこにも行けない。ノーリスク・ノーリターンである。


スリ・・・

「知っている人以外は,すべてスリと思え。」出かける前から,いろいろなところからこのような情報をもらっていた。

パリに着いてからも,次のような話を聞かされた。
・二人乗りのバイクが,車のガラスを割ってバッグをひったくる事件が発生しているので,車に乗るときは,バッグを足下に置くこと。
・ロマの女性たちが数人で取り囲んで来て,スリを行う。特にオペラ座付近が多い。
・地下鉄では,子どもと数人の女性が取り囲んで,スリを行う。夜遅くの地下鉄は乗らないこと。また,電車の出入り口付近に止まらず,中に入ること。
・ルーヴル美術館など,観光客で混んでいるところでは,必ずスリがいる。写真を撮っているときなどが一番危ない。
・リュックは,スリにどうぞ取ってくださいといっていることと同じ。ショルダーバッグも必ず前に置くこと。
・寄付とか署名とかいろいろな理由で近づいてくる人がいるが,絶対に関わらないこと。

ここまで言われると,どうしても身構えてしまう。まったく,人間不信の世界観である。でも,この緊張感がないと本当に被害に遭ってしまう。実際に,大きく口の開いたリュックを背負っていた日本人を見かけた。

在フランス日本大使館のホームページによれば,2013年6月の日本人のこうした被害は,60件あったそうである。大使館に届け出たものなので実際の数は,もっと多かったのかもしれない。

夜遅くホテルに帰るときに,数メートル離れた場所を歩いていたFさんは,ロマの女性に声をかけられたが,「ノン メルスィー」ときっぱりと言って事なきを得た。

一方,Kは,安物のショルダーバッグのファスナーが壊れてしまった。開けっ放しのショルダーバッグを担いでいるわけにも行かず,持ち物に苦労した。そう言えば,ルイヴィトンの本店があったので,そこで購入しても良かったかも。(笑)


不法移民・・・



ヴェルサイユ宮殿の前には,エッフェル塔を模した安物の土産品を売っている黒人が,多くいた。我々の車が駐車場を出ようとしたその瞬間,一人の黒人が超ダッシュで逃げていく。よく見ると,道路の真ん中で,別の黒人が二人の警察官に取り押さえられている瞬間であった。道路に頭を押しつけられ,後ろ手に手錠をかけられ連行されていった。辺りには,大量のエッフェル塔が無惨に散らばっていた。

旅行社の女性ガイド(日本人)は,「捕まった彼は,不法移民者であろうから,本国に強制送還される。彼らは,不法にものを売ってはいるが,観光客を脅したり,物を取ったりはしない。警察は,彼らを取り締まるのではなく,多発するスリ対策をすべきである。」との話をした。確かに一理あるが,警察も一応は取り締まりをしなくてはならない。きっとスリ対策もやっているのであろうが,それは,ほとんど見えない。今回の出来事は,まさに一罰百戒であろう。
ロマの問題も含め,不法移民者対策が大きな問題になっている。


バスの乗り込み検査・・・

バスでモンサンミシェルに行く途中,高速道路の料金所を出たところで,検問に引っかかった。ガイドは,乗客に必ずシートベルトを締めるよう,そして無視をして静かにしているように指示していた。乗り込んできたのは,うら若きパリジェンヌ。調査項目は,二人の運転手の免許証など関係書類,バスの運行計画や乗客名簿,乗客のシートベルトの状況,バスの整備状況などの関係書類,バス内の状況,トランクの状況など,多岐にわたる。この間約20分。じっと我慢の子である。変な行動をしたり,パリジェンヌの写真を撮ったりしたらアウト。乗客名簿は,指名手配者の有無など,しっかりと調べるそうである。

そうだ,ここは,外国に派兵している軍隊のある国だったのだ。わずか4時間しか滞在できないモンサンミシェルの弾丸ツアーの乗客にとっては,貴重な20分を失ったことになるが,テロ対策としては,必要なことであろう。
検問を終えたパリジェンヌは,にこりともせずにバスを降りていった。

そう言えば,成田のホテルから空港に向かう途中で,検問があった。係員がバスに乗り込み,パスポートを確認していく。その間わずか2分程度。係員は,ご協力ありがとうございましたと,ていねいに深々と頭を下げてバスを降りていった。


緊張感が,まるで違う。外国に行くと,水と安全と快適性は,ただではないことがよく分かる。


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