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パリ その10 旅を振り返って (2013.6.27〜7.2)

これまで述べてきたように,いろいろなことを経験した旅であった。今思えば,61歳のヨーロッパデビューは遅すぎたようにも思うが,今だからこそ見え,感じることがあるのではないかと思う。


人生の最北端,最西端

これまでの最北端は,哈爾浜(北緯45°47′)であった。最西端は,西安(東経108°55′)であった。参考までに,Kさんち(北緯37° 東経139°あたり)

パリ(北緯48°52′ 東経2°19′)
オンフルール(北緯49°25′ 東経0°13′)
モンサンミシェル(北緯48°38′ 西経1°30′)

何と,ついにグリニッジ子午線を越える経験をした。もちろん線が見えるわけではなく,何の自覚もなかったが。

次は,日付変更線,赤道,南回帰線を越えることを目指そうか。(北回帰線は,香港,マカオ,珠海などに行っているために,すでに越えていた)


欧州連合

加盟国圏内に入るときと出るときだけ,その国で出入国検査がある。後は,同一国と同じように,フリーパスだそうである。今回はフランス訪問だけであったので,その恩恵はほとんどなかったが,欧州数カ国を移動する旅行者にとっては,大変便利なことであろう。ただし,パスポートにそれぞれの国のスタンプが押されないので,少々残念という声も聞かれるが。
欧州連合を感じたのは,車のナンバープレートであった。ユーロプレートとしてナンバープレートの端にユーロマークとともに,フランスなら「F」と記されている。多くのFナンバーに混じって,NLオランダ Iイタリア Eスペインなどが見られた。

共通通貨ユーロを初めて使った。フランスフランを手にする経験が出来なかった。同様に,ドイツマルクも。今のうちに,ユーロを導入していないチェコ,ポーランド,イギリスなどを旅するのもいいかもしれない。


言 語

Fさんは,大変熱心にフランス語を学習していた。Kは,ほとんど何も勉強せずに,無手勝流英語を使うことにしていた。
さて,フランスでは話が通じるか。結論,挨拶をフランス語で話せば,あとは,無手勝流英語で十分通じた。必要最小限の会話だけなので,これで十分である。この辺りは,中国とは事情が異なる。中国では,特定の場所以外は,まったく英語が通じない。フランス人は,実はほとんど英語を使えるはずである。ただし,お高くとまっているので,フランス語で挨拶をした後ではないと,英語を使おうとしない。中国人の多くは,そもそも英語が分からない。

つまり,超基本的なフランス語を予習し,日頃から英会話を熱心に学んでいるFさんの姿が一番いいことが証明された。


食事と農水産業

食文化は,農水産業との関わりが大きい。学生の頃,フランスと言えば,農業国であると学んだ。華やかなファッションや芸術,料理などと少しかけ離れていると感じたが,今思えばそれらは深いつながりがあるように思える。
フランスだけではないが,ヨーロッパでは,酪農と小麦生産がその中心である。酪農から生まれるもの,ミルク・バター・チーズそして肉。小麦と言えば,パン。フランス料理は,それらをベースに,いかにバリエーション多く美味しくいただけるかを工夫して発展してきたのであろう。
バスで移動中に,広大な農地を見ることが出来た。丘を切り開き,小麦などの畑にしたり,放牧場にしているのが見えた。
これらを日本の農家の風景と比較してみた。日本の風景の多くは,水田である。水を引き,耕地を平らに区画していく。水田は,完全に水平に耕さなくては,水や肥料が均等に行き届かない。一人だけでこれらの水の流れを管理することが出来ない。ここに,共同体としての日本人が育まれてきた。
と,難しい方へ話が展開しそうなので,松本健一著「砂の文化・石の文化・泥の文化」に話を譲ることにする。

多様な文化をきちんと理解することから始めないといけないのではないかと,改めて感じた次第である。


長 旅

12時間を超える長旅であった。エコノミークラスは確かにきつい。そうかといって,ビジネスクラスを選ぶかといえば,「今は」選ばないということになる。経費が倍以上かかるからである。出張など仕事であれば,その投資は,有効なものであろう。しかし,観光旅行では,エコノミークラスで十分である。ビジネスクラスを使うのであれば,2回旅行に出かけた方がいい。ただし,これは「今は」である。

ただし,旅行にかけるお金をとことんケチるつもりもない。必要なところには,必要なお金をかけることが大切である。安全のための経費,快適のための経費,感動のための経費,そして感謝のチップ,それぞれ想い出多い豊かな旅を演出するものである。


長編レポートにおつきあいをしていただき,ありがとうございました。
Kは,すでに次なる旅に思いを馳せています。新しい経験をすることは,素晴らしいことです。さて,次なる旅は・・・。

皆様,お楽しみに。


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