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平成30年 大相撲九月場所 観戦記



第1章 豊山がいない !? これってあり?



 8月上旬、チケットの先行予約で、9月13日大相撲五日目のチケットをゲットしました。座席は、西の2階席Bです。真西の位置で、東から上がる力士は正面から、西から上がる力士は背中(お尻)を見ることになります。


 9:04新潟発のとき312号で出かけました。11:00過ぎには、両国に到着しました。早速、国技館に入場しました。

 三段目あたりの取組が進んでいました。



【何とも可愛げな行司さんたち 一方、呼出しひろまさは、一生懸命働いています。】




 12:00になったので、ちゃんこ鍋を食べに行きました。今場所は、高砂部屋のちゃんこ鍋だそうです。すでにかなりの人が並んでいます。1杯300円の鍋は、とてもおいしかったです。



【高砂部屋のちゃんこ鍋】




 ビールを片手に、お弁当を食べたり、館内を探検したりしていると、十両土俵入り、幕下上位5番と進んでいきました。


 最初のお目当ては、西幕下筆頭、時津風部屋の豊ノ島です。



【豊ノ島 背中大きい】




 この日勝って3勝とし、十両復帰に王手を掛けました。


 新潟巡業で、当時幕下だったためサインをもらえなかった炎鵬関の登場です。



【炎鵬関 身体小さい】




【新しいまわしがしっくりこない、翔猿関】




【照強関の豪快な塩まき】




【いつもの癖 立ち合い前の鼻こすり 大奄美関】




【大人気の安美錦関にタオルを渡す呼出しひろまさ】




 こうして、十両力士の取組が進んできました。


 さあ、いよいよ幕内力士の土俵入りです。新しく購入した「豊山関」の応援マフラーを用意してその時を待ちました。


 西方の入場です。千代大龍関の次に登場するはずです。
 千代大龍関が土俵に上がった後、「魁聖 西前頭筆頭・・・」とアナウンス。


「あれ、豊山いなかったね。」「ええっ!マジかよ。こんなのあり?」というわけで一気に全身の力が抜けてしまいました。

 インターネットで調べると、休場力士情報に、「東前頭二枚目豊山(時津風部屋)五日目から休場します。」とありました。
「オーマイゴッド!!」


 以下、全然力が入らず、もぬけの殻になって、一応幕内の取組を観戦しました。

 せっかく購入した豊山応援マフラーは、いつ掲げることができるのでしょうか。







第2章 再出場で白鵬戦そして再応援計画


 今場所は、豊山自身最高位の東前頭二枚目と番付を伸ばしました。先場所、優勝した御嶽海に勝って、12勝3敗で敢闘賞を受賞しました。

 横綱大関総当たりの苦しい場所になるのは、覚悟していました。しかし、どのくらい力をつけたのか、5月場所の2勝13敗をどのくらい超えることができるかなど、不安の中にも楽しみにしていた場所でした。

 それが、2横綱に2敗、2大関に2敗で、この日を迎えていました。結局不戦敗のため、3大関3敗という五日間になりました。

 超悲観的豊山応援論によれば、5敗10休で、−15ポイントになります。現在東の二枚目ですので、単純計算をすれば、来場所は、東の十七枚目になります。つまり、十両の筆頭ということです。何ということでしょう。1勝すれば幕内に残れるのに・・・。


 ということで、テレビ桟敷での相撲観戦にも今一つ力が入りません。


 七日目、何気なく大相撲中継を見ていると、中日八日目の取組が映し出されていました。最後の一番は、「豊山―白鵬」となっているではありませんか。

「やったー再出場だ!!」という喜びと「無理してけがを悪化させなければいいが」という心配が去来しました。でも、出場するからには、それなりの覚悟でのことでしょう。また、テレビ桟敷での楽しみが復活しました。


 中日八日目、左肘にサポーターを付けた豊山が、土俵に上がりました。あっという間に白鵬に上手投げで土俵に這いつくばっていました。負けはしましたが、痛めている左肘や右ひざにダメージはなかったようで、一安心しました。
 これで、横綱大関総当たりで、6敗となりました。



【新潟日報より】




 九日目、千代大龍の猛烈な立ち合いを受け止めると、怪我など感じさせないツッパリを見せます。突き出しで、ようやく1勝目を上げました。



【新潟日報より】




 この頃から、何とかもう一度両国国技館に行って、豊山応援マフラーを掲げたいという思いが沸き上がってきました。


 行くことが可能な日は、十三日目の9月20日(金)だけです。

 さて、どうするか。

 まず、入場券。

 前売り券はすでに完売です。入手可能なのは、400枚ある当日券のみです。当日券は、朝8時に発売開始されますが、通常その頃行っても売り切れてしまいます。遅くとも、7時前には並ばなければなりません。ということは、朝一番の新幹線で行っても、当日券を購入できる確率は、限りなく0に近いということです。


 夜行バスという手段もありますが、体力的に心配です。ただでさえ、当日券購入のために、かなりの時間並ばなければなりませんので。


 結局、9月18日夜、以下のような計画を立てました。

 9月19日、午前中の新幹線で上京、浅草演芸ホールで落語等の鑑賞。その後神宮球場で、ヤクルト−巨人戦を観戦。新小岩のホテルで宿泊。
 9月20日早朝、両国国技館に並んで当日券をゲットする。


 問題は、当日の天気と自分の体力でした。




第3章 応援マフラー掲げて「豊山!!」そして勝った!!



 9月19日(木)、11:19の新幹線で東京に向かいました。

 浅草演芸ホールの落語は、いまいちでした。

 神宮球場の野球は、雨天中止になりました。

 豊山は、栃煌山に負け、1勝9敗2休になりました。

 新小岩のホテルの一室で、一人酒盛りをして、翌日に備えて早めに寝ました。



 9月20日(金)4:30に起床し、新小岩5:22発の電車で両国国技館に向かいました。長い長い一日の始まりです。

 両国国技館に並び始めたのが、5:40頃です。ここで、7:45の当日券発売まで、雨の中を立って並びます。もうすでに、40人ほどの人が並んでいました。先頭の方には大勢の外国人たちがいます。



【まだ街灯が点灯しています。肌寒い雨の日になりました。】




 両国名物という「じいさん」が来て、「はい、雨に当たらないように、前に詰めてね。」などと、勝手に誘導してくれます。お陰様で、6:00過ぎには、相撲協会のテントの中に入って、傘を閉じることができました。



【テントの中に入り、雨を避けることができるようになりました。】




 7:00過ぎに、当日券売り場前に大型のテントが設置されて、列の再整理が行われました。



【先場所優勝の御嶽海、敢闘賞の朝乃山、豊山が繰り返し映し出されていました。】




7:20、購入整理券が配られました。43番をゲットしました。早朝から並んだ成果です。



【これで、入場券をゲットできます。】



 7:45になり、ようやく当日券が発売されました。一人1枚2,200円也です。8:00開場と同時に入場しました。



【苦労して手に入れた入場券】





 当日券は、自由席で、国技館2階、最上段の一列椅子席のみです。西方から土俵に上がる豊山の顔が見えるように、正面やや東寄りに陣取りました。正面席と向正面席は、あっという間に席取りが終わりましたが、西と東の自由席は、かなり遅い時間まで空いたままでした。


 入場券は、1回だけ外に出ることができるので、席だけ確保して、夕方戻ってくる人、席はどこでもいいので、入場券を購入して、夕方まで入場しない人など、いろいろなタイプの人がいるようです。


 さて、8:00過ぎの国技館内。この日は、十三日目なので、取組開始は10:30過ぎです。



【ゲットした場所からの眺め】




【ロイヤルボックス】




 9:00過ぎになって、ようやく一部の売店が開店したので、焼鳥とビールとで朝食にしました。ガラガラ空いている席で遅い朝食にしました。朝起きてから5時間近くが過ぎていました。


 10:35 ようやく序ノ口の取組が始まりました。


 気になっている力士が一人います。それは、平成27年九州場所で西序ノ口24枚目で番付に載って以来、2勝122敗1休の「服部桜」です。運よくこの日、服部桜の取組がありました。しかも、序二段での取り組みです。

 負けるわけです。小さい体で、何ともスピードもなく、ヨロヨロと前に出ましたが、簡単に寄り切られました。よく話題になっているのですが、「この人なんで相撲取りになっているのか」といった、実に哲学的な命題を与えてくれています。これで、2勝123敗1休となりました。



【西方 服部桜  ボケボケです。】




 ほかにも、序二段292.6sの最重量力士「大露羅」、土俵に手をついて、「よっこらしょ」という感じで、土俵に上がりました。ゆっくりと立ち上がり、体をゆすって前に出たら、相手が土俵を割ってしまい、寄り切りで勝ちました。


 大けがで三段目に落ちている「宇良」が登場しました。少ない観客ですが、猛烈な声援です。ここは力の差を見せて、押し出しで勝ちました。


 午前中の大相撲、結構面白いドラマがあります。


 朝青龍の甥(豊昇竜)と大鵬の孫(納谷)の一番なども楽しみました。



 このように、国技館内を散策しては相撲を見、相撲を見ては、食べて飲むという夢のような時間を過ごしました。


 さて、取組も進み、いよいよ幕内力士の土俵入りです。ドキドキしながら豊山の姿を探しました。
 いましたいました豊山!!、Fさんに「豊山いたー」と喜びのメールをしました。



【行司のすぐ左、右ひざに包帯が見える向こう向きの豊山関】





 場内も席が埋まってきました。満員御礼の垂れ幕も下がりました。
 場内は、外国人客の姿であふれています。もしかすると、外国人客によって大相撲ブームが支えられているのかもしれません。



【前列2列は、全員外国の方】






 さあ、いよいよ豊山の取組です。対戦相手は、人気力士「勢関」
 応援マフラーを広げて、「ゆーたーかーやーまー」と声を掛けました。ついにこの時が来たのです。







 立ち合いの後、少々押し込まれます。そこで左に変わって、突き落としを見せます。これがうまく決まって、勢関が土俵に倒れました。



【新潟日報より】




 ついに2勝目を上げました。歓喜に飛び跳ねるKでしたが、周りはと見ると、皆さん何ともないというような状況でした。ちょっと浮いていました。まあ、知らない人ばかりなのでいいでしょう。


 押し出すという豊山本来の相撲ではありませんが、怪我をしているので、仕方ないです。実はこの時、幕内での豊山の勝利を初めて見た瞬間でした。

 急いで閉店間際の売店に行き、生ビール大を購入し、一人乾杯をしました。



 この後は、正代関が栃ノ心関をすくい投げで勝ったり、白鵬関が稀勢の里関に勝ったり、豪栄道関に鶴竜関が敗れて座布団が飛んだりしたのを見ました。


 こうして、雨の両国国技館を後にしました。


 体は、ボロボロ状態でしたが、心はとても充実していました。それは、豊山の勝利はもちろんですが、結構なこの苦行をどうにか無事終えることができたという、満足感があったからだと思います。



 22:30、起床から18時間後、ようやく家に帰りつきました。

 こうして、一連のドラマが終了しました。本当にお疲れさまでした。



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