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まだ夢のよう 総集編

掲示板の内容を再編集したものです。



正直,第32節川崎に負けた時点で,アルビのJ2降格を覚悟しました。
残留するためには,アルビが2連勝し,神戸が1分け1敗以下,しかもガンバが2分け以下という条件ですから。
場合の数だけで残留する確率を出すと,おそらく1パーセントくらいでしょう。

さて,第34節のビッグスワン
試合は,アルビ優勢で進んでいくのですが,他会場の試合経過は一切入りませんでした。
時々携帯などで情報を入手している人もいたようですが。

試合は,そのまま4−1で終わりました。勝った瞬間はいつものような大きな歓声は沸かず,異様な雰囲気でした。

ベンチの方を見ているのですが,特別な動きは見えません。
「だめだったのかな」という気持ちがよぎります。

しばらくするとあちこちで,「もう少し」とか「がんばれ」とかという声が聞こえ始めます。
あちらこちらで,携帯を持った人の所に集まって,真剣に画面を覗いています。
もしかすると,残留の可能性があるのかなと,そんな雰囲気が伝わってきました。
「負けているの?」
「まだ終わらないの?」
「両方とも負けているの?」

あちらこちらから歓声が上がり始めました。
確かなことはわかりませんが,残留したのかもしれないなと感じました。
「残留?」「残留したの?」ざわめきが広がっていきます。

そして,場内放送。


その場内放送は,大歓声の中にかき消されて,全く聞き取れませんでした。


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今年初めてアウェーに参戦しました。

アルビの初勝利は,開幕から1月が過ぎた4月14日(土)の第6節セレッソ大阪戦まで待たなければなりませんでした。
次は,4月21日(土)今年昇格したばかりのサガン鳥栖戦です。
何しろJ2降格候補第2位の鳥栖に負けるわけがないと,佐賀への遠征を計画しました。
早速福岡行き飛行機のチェックです。
手に入ったのは,往路4月20日(金)復路4月23日(月)で,3泊4日の大旅行となってしまいました。

4月21日(土)の九州地方は,午前中は快晴でした。しかし,天気予報は下り坂です。
試合直前から降り出した激しい雨に打たれることになります。
それでも新潟サポーター100名くらいとずっと立ちっぱなしで応援しました。
試合は,後半に失点し敗れてしまいました。まさかまさかの敗戦です。
今年のアルビの厳しい結末を予感させる試合でした。

この突然の旅行は,試合以外ではとても楽しいものでした。
水郷柳川で川下りをしたり,湯布院で入浴をしたりと楽しんできました。

この後,アルビは低迷を続け,監督交代などと進んでいきますが,あまりよい結果につながりませんでした。


暑い夏が終わった9月27日,「おれ様」から一通のメールが届きました。


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「おれ様」からのメールの概要は,次の通りです。
「最終節の札幌戦に参戦します。J1最後の試合でしょうから・・・」
もちろん「最後まであきらめてはいけない」と返信しました。

なかなか降格圏を脱出できない状況が続いていました。
これまでなかったことです。正直,Kも降格するかもしれないと思い始めていました。

それから二日後,9月29日第27節名古屋戦で,5−0で勝利します。
一試合で5点も取らないで,分ければいいのにという声も聞こえました。
確かにそうですが,この5点が最後の最後になって効いてくることになったのです。

かすかに光明が見えてきました。
10月20日第29節アウェー大宮戦に参戦することを決めます。
我が家の予定ボードに「10月20日 残留決定」と気合いを入れて記入しました。

10月20日,ウイークエンドパスを購入し,普通列車を乗り継いで大宮駅に降り立ちました。

795(ナックファイブ)スタジアムのアウェー席はアルビサポーターでいっぱいでした。
応援に気合いも入っていました。
期待に応え,田中亜土夢選手が先制ゴールを決めますが,すぐに同点にされて引き分けで終わりました。
この試合で勝てば,大宮の上に行き降格圏脱出となるはずだったのですが。

その後,鳥栖にまた負け,清水に勝ち・・・と続きます。

そして,運命の第32節川崎戦を迎えます。
ビッグスワンでの川崎戦は,相性が抜群で,これまで負けはありません。
第31節に石川直樹選手の魂のゴールで清水に辛勝しましたので,ここで川崎に勝つことは,浮上の大きなきっかけとなります。
この試合,アルビは何と退場者を出してしまいます。そして,後半ロスタイムに失点し敗れました。
大変痛い痛い敗戦でした。

ライバルチームが揃って勝ったために,残留圏チームと勝ち点5の差になりました。

経験則で,順位をひっくり返せるのは,試合数と同じ勝ち点数といわれています。
残り2試合で勝ち点差5は,正直無理です。
可能性はあることにはあるのですが,それは「奇跡」以外何もありません。

試合終了後,下を向いて挨拶に来る選手に拍手を送る元気もありませんでした。
「まだ終わったわけじゃない。下を向くな。」と叱咤する声がむなしく聞こえてきました。


震える手で,愛する娘たちに,「終戦」とメールを送りました。


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第33節仙台戦は,引き分け以下で,また,対戦相手の成績によっては,勝っても降格決定です。

この日は,中学校の還暦同期会がありました。
司会を仰せつかっていましたので,そわそわしているわけにも行きません。
普段は,アルビの試合進行について,メールが届くように携帯をセットしてあるのですが,このときばかりは,電源を切っておきました。

この日は,アルビの終戦記念日になるであろうと,心の中で言い聞かせていました。

試合が終わった頃,携帯の電源を入れました。
「GOAL!!! キムジンス選手」と見出しにあるではないですか。
「GOAL!!! 」の時はアルビのゴール,「GOAL」の時は相手のゴールです。
試合はこのまま終了します。幸いなことに,ガンバが引き分けました。

あとは,神戸の結果次第です。神戸が勝てば,降格決定となります。

帰宅し,神戸の試合を見ました。0−1で負けています。
対戦相手の柏を必死になって応援します。
試合は,このまま終了します。

またしても,首の皮一枚でつながりました。
なんと丈夫な首の皮でしょう。

15位  神戸  勝ち点39 得失点差 −8
16位  ガンバ 勝ち点38 得失点差 +3
17位  新潟  勝ち点37 得失点差 −8

奇跡的に首の皮一枚で生き残ったといっても,非常に苦しい状況には変わりありません。


新潟は,勝つしかありません。
勝ったとしても,神戸が勝つかガンバが勝てば,降格決定となります。

ここで,大切なことは,神戸との得失点差です。
アルビは勝つしかありませんので,勝ち点40,得失点差が−7以上になります。
神戸が引き分けで,勝ち点40,得失点差−8のままです。
つまり,神戸が引き分ければ,新潟が上に行きます。

あの,5−0の名古屋戦の成果がここで生きてきました。

依然として非常に厳しい状況です。
ただし,光明もかすかに見えます。
・対戦相手が,すでに降格決定の札幌である。
・神戸の対戦相手が優勝した広島で,仙台戦で新潟は広島の優勝をアシストしている。
・広島の監督は,昨年までのアルビのヘッドコーチ,千葉ちゃんもいる。
・ガンバの対戦相手は,新潟の柳下監督が昨年まで監督をしていた磐田である。
・ガンバは,前田のデスゴールを受けている。

心が揺れ動きます。
・あのガンバが落ちるわけがない。
・降格が決まった札幌が,道連れにしていくと言っている。

葛藤の長い長い一週間でした。


こうして,運命の12月1日を迎えたのでありました。


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運命の12月1日は,寒い日でした。
新潟市江南区は,雪が積もりました。寒さ対策をばっちりとして家を出ました。

Fさんが,「どんな感じで家に帰ってくるだろうね・・・」と話します。
先日の第33節で奇跡を起こしたばかりなので,もう運は使い果たしたのではないかと思っていました。
「うーーん・・・」ずいぶん弱気になっています。
いつもは,「3−0で勝つよ」と言っているのですが。

階段を上って,スタジアムを見渡します。
正直,もうウルウルしています。
「これが,J1最後か・・・」 おれ様のメールが脳裏を駆けめぐります。

試合開始のホイッスルが鳴りました。
「この試合だけに集中しよう」と決めて,観戦します。
アルビの選手は,アグレッシブに戦います。
確実に,札幌の選手とは質が違いました。

坪内秀介選手のゴール,ブルーノロペス選手のゴールがあり,2−0で前半を終えます。

通常は,ここで他会場の途中経過が放送されます。
聞きたいような怖いような感じで待っていました。

「他会場の途中経過は,試合進行上の都合によりお知らせしません。」

こうして,試合は後半戦に入っていきます。

1失点しますが,アランミネイロ選手のミドルシュートが,ゴールに突き刺さります。
ブルーノロペス選手のヘディングが,ゴールに吸い込まれます。
4−1あの得点力不足が嘘のようなスコアです。

ここで,アルビの勝利を確信しましたが,他会場の経過は一切分かりませんでした。

試合は,そのまま4−1で終わりました。勝った瞬間はいつものような大きな歓声は沸かず,異様な雰囲気でした。

ベンチの方を見ているのですが,特別な動きは見えません。
「だめだったのかな」という気持ちがよぎります。

しばらくするとあちこちで,「もう少し」とか「がんばれ」とかという声が聞こえ始めます。
あちらこちらで,携帯を持った人の所に集まって,真剣に画面を覗いています。
もしかすると,残留の可能性があるのかなと,そんな雰囲気が伝わってきました。
「負けているの?」
「まだ終わらないの?」
「両方とも負けているの?」

あちらこちらから歓声が上がり始めました。
確かなことはわかりませんが,残留したのかもしれないなと感じました。
「残留?」「残留したの?」ざわめきが広がっていきます。

そして,場内放送。
その場内放送は,大歓声の中にかき消されて,全く聞き取れませんでした。

本当に信じられませんでした。奇跡が2回続けて起きてしまったのです。
今シーズンどうしてもできなかった連勝です。
涙涙の残留の歓喜でした。

真冬模様のビッグスワン,しかし,寒さはほとんど感じませんでした。
防寒対策があっただけではなかったのでした。

心地よい余韻を残して,ビッグスワンを後にしました。
このような気持ちでスタジアムをあとにしたのは,わずか3回でした。
しかし,最後のこの回が,最高の歓喜をプレゼントしてくれました。


帰宅して,特別の時のお祝いビール「プレミアムモルツ」を二人で6缶空けたのは,想像に難くありません。



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