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中国での報道



安倍首相が靖国神社に参拝しました。

ちょうどその時,私は中国広州市を訪問していました。教育視察中でしたが,その情報はメールですぐに届きました。
中国滞在者への注意喚起メールも在中国日本大使館からも届きました。


首相の靖国参拝の是非を本稿で語るものではありません。
その時の中国の空気やテレビ報道について記します。


基本的には,大きな変化はないということです。
日本でいう教育委員会や市立の小学校の訪問も予定通りできましたし,成果も上がりました。
しかし,懇談会や宴会になると,必ず「現在の日中の政治は冷え切っていますが・・・私たちは・・・」という枕詞がついてからの話となりました。


街中の様子というと,それほど大きな変化はありませんが,広州南駅から珠海までの新幹線待合室で,一人の若者が私たちの回りで「日本・・・」としきりにつぶやいて離れようとはしませんでした。
同行の中国人の先生が,かなり厳しい様子で叱っていました。
その先生は,「少し変な人なんですよ。心配いりません。」と話し,私たちの不安を取り除こうとしていました。
私たちは,宴会後でしたのでどうしても声が大きくなります。私は,「大きな声で話すのは控えるように」との指示を出しました。
卑屈になる必要はありませんが,余計な騒ぎを引き起こすことがないように細心の注意を払いました。


ホテルに帰ってテレビをつけると,靖国参拝の話ばかりです。
安倍首相の文字の後ろには,「鬼」という文字がついています。
日本からの取材報道もあります。
日本共産党の委員長の談話,村山元首相の談話,渋谷あたりの市民の声などが続きます。
市民の声は,すべて参拝反対です。
中には,「私たちは,日本の近代史を何も教えられていない。」「日本の歴史教科書には,日中戦争のことが3行ぐらいしか書かれていない。」などというないようもありました。
これらの内容が,延々と続くのです。

ニュースの合間に新作映画の宣伝が入ります。
内容は,中国から見た日中戦争です。
日本兵は,何とも残忍な方法で中国人を殺戮していきます。

報道の意図がはっきりと読み取れます。


ことの是非はさておき,得難い貴重な経験をしました。




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