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ビールとお城とモーツァルトの旅 総集編 2019.9.5〜9


現地3泊の弾丸旅行だったが、結構いろいろな経験をすることができた。



ビール



【飲んだ のんだ】
  



 ミュンヘンと言えばオクトーバーフェスト。今年は、9月21日から10月6日まで開催される。

 この期間は、ホテルの宿泊代が3倍近くになるという。
 オクトーバーフェストでは、ひとつのテントで1種類のビールを1リットルのジョッキで提供されるという。

 これはこれでいいが、あまり人の多いところもいやなので、その前に出かけることにした。

 普段の期間でも、さすがビールの本場ミュンヘンである。特に南ドイツ発祥のヴァイツェン(ヴァイスビアー)は、おいしかった。苦みが少なく、とても香りが良く飲みやすい。

 そして、ヴァイツェンは、ヴァイツェングラスと言われるグラスで提供されることが分かった。

 ピルスナーは、ジョッキの取っ手をとったようなグラスで提供されていた。このあたりにも、ビールに対する強いこだわりを感じた。






 



 ヨーロッパの城は、日本の城とは、基本的に異なる性格があるように思う。

 日本の城は、戦いと切り離せない。一方、ヨーロッパでは、いろいろな意味合いがある。

 ホーエンザルツブルク城は、防衛施設であるが、ノイシュバンシュタイン城は、ルードヴィヒUの夢の城として建てられた。

 これだけ美しく、世界中から人を集める城であるが、世界遺産に登録する動きもないとか。ドイツの城という条件が整っていないそうだ。








モーツァルト


 レジデンツでの演奏会は、とても良かった。サロンコンサートのようだった。

 当時の複製楽器を使用しており、本来はこんな音だったのだろうなと想像しながら聞くことができた。
 バイオリンの音が結構響き、クラビーアの音は小さいがキラキラしている。






 一方、今回のモーツァルトに関する家2軒と、ウィーンで訪ねた1軒、いずれもなんだか印象が薄い。

 ベートーヴェン遺書の家のように、大きな補聴板がついたピアノなど、インパクトのあるものが少ない。

 モーツァルトが初めて使った小さなバイオリンと言われても、「ふーん」で終わってしまう。

 それに、モーツァルト関連の家では、いずれも写真撮影が禁止されていた。後で、じっくりと写真を眺めるということが、写真の絵だけではなく、撮影したときの状況をも思い出として閉じ込めているのだろう。




その他、経験したトラブル編をいくつか記す。



ドイツ鉄道自動券売機


 ヨーロッパの多くの鉄道は、改札口がない。無賃乗車しようと思えばいくらでもできる。しかし、それが発覚した場合は、かなりの金額の罰金を支払うことになる。

 ガイドブックには、チケットを購入したら、必ず、打刻機に挿入して、乗車日時を打ち込むようにと注意書きがある。

 ミュンヘンには、2種類の自動券売機があった。

 ひとつは、ドイツ国鉄(DB)とミュンヘン交通連合(MVV)である。



【左:ドイツ国鉄 右:ミュンヘン交通連合の自動券売機】
 



 どちらから購入しても同じように使える。ただし、出てくるチケットが違うのである。

 DB券売機のチケットは、発売時に日時が刻印されて出てくる。(刻印されずに出てくるようにもできるようだが、詳細は不明)よって、打刻機に挿入する必要がない。



【ホームの入り口にある打刻機】




 もっとも、打刻機の挿入口よりもチケットの方が大きいので、挿入できない。

 ミュンヘン空港から初めて乗車したときは、それが分からず、挿入できないのでずいぶん焦った。係員に聞いて、挿入せずに乗車した。チケットをよく見ると、確かに日時が打刻されていた。

 一方MVV券売機のチケットは、DBチケットより一回り小さい。これは、打刻機に挿入しないと行けない。

 利用初心者には、大変分かりづらい。ようやく理解した頃には、帰国と相成る。



【左:ドイツ鉄道自動券売機のチケット 右:ミュンヘン交通連合の自動券売機のチケット 大きさが違う】




 もう一つ、DB券売機。どうも故障が多いようである。

 元々高額の紙幣は受け付けないようだが、コインだけしか受付ない状態になっていたり、コインも受け付けない状態になっていたりしている。

 操作途中で突然コインを受け付けなくなり、返却もできなくなったことがあった。
 2ユーロほど損をしたが、面倒だったので別の券売機で購入した。同じようなことで困っている現地人の姿も見られた。

 ドイツの機械というと優秀であると信じ込んでいる日本人であるが、あながちそうともいえないようである。




治安の維持


 ザルツブルクからミュンヘンに戻る車中のこと。

 我々の席の前方が4人掛けのボックス席になっている。そこに屈強そうな若者が二人乗っていた。

 列車がドイツに入ったその頃、POLIZEIの制服を着た5人の警察官が、その二人を取り囲んだ。

 二人に身分証明書の提示を求め、何やら厳しい表情で話しかけている。
 我々が網棚の上に荷物をあげていたが、それを開けろと言っているらしい。
 別の警官が我々に向かってあなたの荷物かと身振りで聞いてくる。
 頷くと、この一件は終了した。少し、穏やかな表情になって警察官は去った。かなり緊張する場面だった。

 ドイツは、難民受け入れに寛容なため、テロの標的にもなっている。治安を維持するための、重要な任務でだったようだ。空港での入国審査での厳しさも、これらと関係しているのであろう。


(残念ながら、これらのシーンは撮影厳禁である。ゆめゆめカメラなど構えてはならない。)




台風15号


 台風13号は、どうやら大陸方面に向かうらしいということで、安心していたら、台風15号が発生した。ちょうど帰国日に関東地方最接近の進路予想だった。


 帰国日をもう一日遅くすれば良かったなどと思ったが、どうしようもない。心配しても仕方ないので、「まあ、なるようになるさ」と腹をくくった。

 帰国便出発の24時間前になり、WEBチェックイン完了のメールが届いた。欠航にはならないようで安堵した。

 空港のチェックインでも、特段の話もなくスムーズに進んだ。

 ちょうどこの頃羽田空港あたりは、暴風の最中のはずである。まあ、13時間後の到着であるので、何とかなるのだろう。

 日本海上空のあたりで、機長のアナウンスがあり、台風15号の影響で揺れることが予想されるとのことであった。

 幸い、途中大きく揺れることもなく、羽田空港へのアプローチで多少揺れた程度であった。



【左:台風15号の軌跡 右:NH218便の航路軌跡(フライトレーダーより)】
 




 実は、帰国を一日遅くすればいいという考えは、全く逆の結果を生んでいた。

 9月9日のミュンヘン出発便は、欠航になっていたのである。
 我々が羽田空港に到着した約3時間前に出発するはずのミュンヘン空港行きの便が、台風の影響で欠航したのであった。

 予定通りに帰国できたのは、本当にラッキーなことであったのである。




架空請求詐欺?


 ザルツブルクのレジデンツにおける、モーツァルト・ヴァイオリン・ソナタコンサートのチケットは、CLASSICTICという会社を通して事前に入手していた。
 一人あたりの入場料は、手数料を含めて29ユーロ。二人合わせて58ユーロである。もちろんカードで支払い済み。

 帰国後、CLASSICTICから何回かメールが入っていた。

 評価をしてくれというメールもあったので、まあその程度だろうと思い無視していた。

 あまり何回も来るので、本気になって読んでみた。

 なんだか「技術的なエラーで、お前さんの入金が完全にはなされていないよ。」的な内容だった。

 えっ!これって架空請求?



【CLASSICTICからのメール】




 そこで、クレジットカードの支払い状況を確かめてみた。

 支払額は、22ユーロとなっていた。

 ここまで確認できたので、架空請求詐欺の疑いも薄いと判断して、指定されたアドレスに入った。それによると、「58ユーロのうち22ユーロしか払ってないので、36ユーロ払ってくれ」という内容だった。

 計算は合っている。ということで、追加の36ユーロを支払った。


 チケットを購入するときは、日本語のサイトで購入できるが、今回のように何かトラブルがあると、すべて英語のサイトからの連絡であった。

 料金の支払いを確認してE-Ticketが発行されている訳なので、完全にCLASSICTIC側のミスである。


 幸い架空請求詐欺でも何でもなく、単なるミスであったが、WEB時代の怖さを垣間見た。



 これらの経験も旅のうち。密度の濃い旅が何はともあれ無事終わったとさ。


 めでたし めでたし


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