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2015年8月24日


黒部ルート見学会




ある日,こんなのが届きました。





どうやら,5倍の難関を突破して当選したようです。それも,一番最初に投函したはがきで…。



家庭事情もあり,日帰りも考えたのですが,
途中で事故を起こしてもいけないので,1泊2日の行程を計画しました。


松の家を早朝というか夜中というか,2:50に出発しました。


宇奈月駅に到着したのは,6:20頃でした。

いつもは観光客でごった返している駅前ですが,ほとんど人影がありません。
見かけたのは,黒部峡谷鉄道沿線で作業する諸兄でした。(ご苦労様です)





予定の列車の出発が7:57でしたので,宇奈月ダムなどを見学して,時間を過ごしました。


定刻9:12に欅平に到着しました。

この間の詳細は省略します。興味ある方は,「特殊狭軌線その2」をご覧ください。



欅平駅2Fで受付と説明がありました。

ここでは,身分証明書の提示,持ち物検査,ボディーチェックと本格的な検査がありました。
テロリストが侵入しては困りますので,厳重にやってもらいたいものです。



9:50 いよいよ黒部ルートの出発です。


黒部ルートの前半は,欅平にあるこの黒部川第三発電所に水を送るための工事の跡をたどるものです。





例によって,工事用トロッコ電車(500m)に乗って,竪坑エレベータの入り口まで到着しました。





一気に200メートル昇ります。こんなのが昭和14年頃にできたとは,何ともすごいものです。





竪坑上部の展望台からは,曇ってはいましたが,絶景が望めました。

北東方向を望むと,




南東方向を望むと,





さあ,いよいよ高熱隧道を通る上部専用鉄道(6.5キロ)です。





こんな小さな客車に乗ります。湿気がすごいので,手動のワイパーがついてます。
このワイパーで,室内外を同時に拭きます。
(でもこの画像は,先回撮影したものです。)





この,充電式の機関車で引っ張ります。硫黄が強く,電車用の架線を設置できないそうです。





車内は,非常に狭く,10人のお客と一人の案内人が乗りました。
ひざを突き合わせて,乗車です。







高熱隧道部分に近づくと,硫黄のにおいがしてきます。
案内人が,ドアを開けました。熱気が入ってきます。

工事をしたときは,160℃を超えたそうですが,今は,トンネルが貫通しているため,40℃ちょっとだそうです。





こうして,仙人谷に到着しました。

ここは,黒部川に橋がかかっています。
ここまでは,黒部川の左岸でした。




冬になると,内側に折り曲げられている鉄の扉を上にあげて,完全に窓をふさぎます。
雪が入らないようにするためです。





ここから右側を見ると,仙人谷ダムが見えます。





ここから水を引いて,欅平の黒部川第三発電所で発電します。

そのために,あの難工事を進めたわけです。
160℃を超える岩盤に,ダイナマイトを入れながら掘り進んだ過酷な工事でした。
犠牲者は,300人余りだとか。何とも言えない気持ちで,仙人谷ダムを見つめました。(涙)





黒部川第三発電所にかかわる工事区間は,ここまでです。


ここから先は,黒部川右岸になります。

後半の黒部川第四発電所にかかわる工事区間です。昭和34年頃の工事です。



仙人谷から数分で黒部川第四発電所に到着です。

2002年の紅白歌合戦で,中島みゆきが「地上の星」を歌ったのは,
この後方100メートルくらいの地点です。





全体が地下構造の黒部川第四発電所の入り口です。
とても明るいですね。電気は売るほどたくさんあります。





模型を使った説明がありました。





発電機の上部です。





かつて使われていたタービンが,展示してありました。

土砂が混じっているため,かなりの傷がついていました。





発電機の内部です。タービンのすぐ上です。

猛烈な音を立てて回転していました。この上に発電機があります。





制御は,すべて遠隔で行っているそうです。この人は何をしているのか不明です,という話がありました。





いよいよ黒部ダムに向かって進みます。

第一の交通機関は,インクラインです。





右側の坂を上ります。





傾斜は,34度。大倉山シャンツェのアプローチの角度だとか。
誰かが,上を見上げてますね。





ケーブルカーと違い,中は平らです。
このキャビンは,取り外し可能だそうです。
長いものを運ぶ時は,キャビンを取り外すそうです。





標高差456m,距離815mを20分かけてのぼります。
そして,黒部トンネルに到着です。

人が出てきている「A」と書かれているのがインクラインのキャビンです。





ここからは,黒部トンネル区間(10.3km)です。
途中,5つの横坑があり,その一つのタル沢横坑から外を眺めます。





こんなバスです。





しばらく歩くと,超絶景が待っていました。

ここは,十字峡のすぐ上です。歩いて下廊下は無理ですから,なかなか見ることができない山々です。





黒部トンネルは,関電トンネルの下100mで交差し,右に旋回して関電トンネルと合流します。

遮断機の前方右側のトンネルが扇沢方面,左側が黒部ダム駅方面です。

遮断機から手前は,一般の人は立ち入り禁止です。
また,立ち入る人はヘルメット着用が義務付けられています。





遮断機を通り,左に50メートルほど歩くと,人々でごった返す黒部ダム駅に到着です。





階段を上ること220段。ついに,黒部ルートを通っての黒部ダム展望台に到着です。





案内人の方が話していた,
「ここを通ると,電気を無駄に使えないと感じますよね」という言葉が,今でも耳に残っています。


ダムサイトは,観光客でごった返していました。
ダムカレーを食べようと考えていましたが,長蛇の列であきらめました。



室堂に行き,ホテル立山の「りんどう」で,カレーをいただきました。





室堂からは,水平歩道を通って,天狗平の立山高原ホテルに向かいました。

途中,チングルマなどの高山植物が,かろうじて花を咲かせて,私たちを待ってくれていました。















一時間ほどで,天狗平に到着しました。





立山高原ホテルは,外装工事中でしたが,
奥大日岳,剱岳,別山,真砂岳,富士ノ折立,大汝山,雄山の全貌が見渡せました。



翌8月21日,雨の天狗平を後にして,美女平・立山駅を経由して宇奈月の駐車場に戻りました。

松の家に着いたのは,17:00ちょっと前でした。




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