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伊王島・平戸への旅
 2018.10.31〜11.1





 成り行きから、映画「あなたへ」のロケ地巡礼となった。

 今シーズン最後であろう台風26号の発達状況を眺めながら、出発日の10月31日を待った。台風26号は、フィリピンルソン島直撃のコースをとっており、日本列島には向かう様子がない。



2018年10月31日(水)

ほぼ満員の乗客を乗せたIBEX福岡空港行きは、5分ほど早くドアが閉まり出発した。多少の揺れはあったが、ほぼ快適に福岡空港に到着した。例によって一番最初にターンテーブルに現れたスーツケースをピックアップして、空港を後にした。


博多駅で、お昼の弁当をゲットし、11:55発の長崎行き特急かもめ19号に乗車した。長崎からレンタカーを利用するため、ビール付きの昼食とはならなかったが、美味しく弁当をいただいた。


長崎本線は、急カーブが続く。特急かもめは、カーブに差し掛かると内側に大きく傾く。どうやら振り子電車のようである。有明海を右に見ながら快調に進む。遠くに雲仙普賢岳と思しき、高い山も見えてきた。定刻13:50に長崎駅に到着した。


長崎駅前は、大変なバリアフルで、道路を横断するにも、重いスーツケースを抱えて歩道橋を上り下りしなければならなかった。駅前の道路をまたいだ向こう側にある「日産レンタカー」に息を切らして到着した。



【バリアフルな長崎駅前 翌日の出発前に撮影】




これから24時間お世話になるのは、黒の日産マーチだ。

早速、伊王島に向けて出発した。途中、多少迷いながらも、40分ほどのドライブで伊王島の最北端、伊王島灯台に到着した。



【まさに、この白い灯台】




伊王島灯台は、白い姿が印象的だった。

映画「あなたへ」では、ここで妻からの2枚のはがきを風に飛ばして、過去と決別するシーンに使われている。

ただし、舞台となっている平戸島薄香とは、直線距離でも100q近く離れているだろう。映画のロケでは、このようなことが当たり前のこととして通用している。土地を知らない人にとっては、何の違和感もないが、地元の人にとっては、大きな違和感を抱くことになるだろう。


公園を管理している方と少々話をして、灯台の脇にある灯台記念館を見学した。



【灯台に関する資料とともに、「あなたへ」も展示されていた。】




灯台はどこもそうだが、とても静かな時間が流れている。これまで眺めてきたであろう幾多の時間が、そう思わせるのだろうか。ここでも、そんなことを感じた。過去との決別という意味では、適切な設定だったのだろう。



【訪れる人も少なく、静かな時間が流れている。】




白亜のゴシック様式のカトリック馬込教会を眺めて、15:30頃伊王島を後にした。



【立派な教会があちこちにある。】





長崎自動車道・西九州自動車道を経由して、平戸大橋を通過したのは、18:00頃になった。

辺りは、漆黒の闇に包まれており、本日のお宿「湯快リゾートホテル蘭風」だけが明るく輝いていた。

湯快リゾートは、西日本を中心に、競売等にかけられた物件を買収して、格安ホテルとして運営しているグループのようだ。
この湯快リゾートホテル蘭風も、広大な敷地と建物で構成されており、1泊2日バイキング2食と飲み放題がついて、何と一人当たり一万円を切る価格なのである。しかも、お部屋は海を臨む和洋室ときた。
館内は清潔感に溢れているが、徹底したコスト管理を意識した運営がなされていることが垣間見れた。



【ほぼ完全セルフサービス。従業員は、ご高齢の女性が多い。】







11月1日(木)

 朝日は、6:40頃に対岸の姿を見せた。



【風車の辺りから出た11月の朝日】




海を眺め、プチリゾート感覚を味わいながら朝食をいただいた。


8:00過ぎにホテルを後にして、旅の主目的である「薄香」を訪ねることにした。20分ちょっとで薄香に到着した。まあ、何の変哲もない寒村の漁港集落といった感じである。



集落の入り口近くの左側に「薄香郵便局」として使われた「薄香公民館」をすぐに見つけることができた。



【道路沿いで、すぐにわかった。本物の薄香簡易郵便局は、ちょっと左手にある。】




漁協近くに車をとめて、散策することにした。


はじめは、「富永写真館」。たぶん普通の空き家を映画セット用に再構成したものだろう。それがそのまま残されている。下見板の塗装など、作った感が見られたが、それはそれで存在感があった。



【坂の上に、富永写真館が見えてきた。】






【健さんの真似をしてみたが、健さんは片足を土台にかけていた。残念】




【ここにも「あなたへ」があった。】




「濱崎食堂」は、船着き場の前にある横に広い家屋というイメージを持っていた。何回かこの辺りと思われる場所を歩いたが、イメージ通りの家を見つけることができなかった。

スマホで映画の場面を検索したところ、特徴的な低いブロック塀がある家屋だった。どうやら、家屋の右側にセットをつけ足して濱崎食堂としたらしかった。



【普通の民家を外側だけ濱崎食堂にした。内部は東京のセットで撮影したとか。】




【廃止になったフェリーターミナルには、こんな掲示があったが・・・。】




こうして、一時間近く薄香を散策した。本当に静かで、波も穏やかな小さな漁港であった。時間がゆっくりと流れている感じがした。



【波一つない、静かな薄香漁港】



 薄香は、映画によって一躍脚光を浴びたが、考えれ見ればそれだけのことだったように思う。時々我々のように訪ねてくる人がいるが、薄香にはお金を一銭も落としていかない。そればかりか、きょろきょろと辺りを散策されたり覗かれたりと、実は迷惑なことばかりなのかもしれない。



平戸市内に戻り、平戸ザビエル教会や「寺院と教会が見える風景」、平戸オランダ商館などを見学した。



【ザビエルさんゆかりの教会 中に入ろうとしたら、中国人の団体さんが入ったため、やめた。】




【寺院と協会が見える風景】




【平戸オランダ商館 2011年に復元された。】




平戸大橋を眺め、来た時と同じ道を通って13:00に長崎に戻った。



【平戸大橋】




長崎駅15:20発の特急かもめ26号の出発まで少々の時間がある。長崎ちゃんぽんをいただき、眼鏡橋まで歩いた。



【プレモルと長崎ちゃんぽん】




地図上では平坦な道路に見えても、結構な坂道になっている。川沿いを上流に歩き、「諏訪神社」から路面電車に乗って長崎駅に戻った。



【ご存知、眼鏡橋 修学旅行の高校生たちが多くいた。】




【安くて便利な、長崎の路面電車 どこまで乗っても120円】





福岡空港に17:40頃に到着した。

新潟空港行きのIBEXは、25分ほど遅れて福岡空港を出発したが、新潟空港には10分遅れの20:30頃に到着した。



こうして、いつの間にか映画「あなたへ」のロケ地巡礼となった旅が終わったとさ。  めでたし、めでたし。

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