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くさやを求めて600q 2015.5.14・15

 ちょっとしたマイブームの島めぐり。石垣島竹富島・しまなみとびしま海道・対馬に続く第4弾は,八丈島。今回のテーマは,「くさやを求めて」であるが,副題に「大丈夫かな」というのが付いたようだ。

 5月11・12日を候補に旅行計画を練っていた。ところが台風6号接近ということで,直前になって14・15日に変更した。台風一過で,そんなに天気も悪くなさそうである。飛行機も宿も余裕で確保できる。さあ,島めぐり第4弾の実施である。




2015年5月14日(木)

・大丈夫かな その1 亀田バイパス大渋滞

 前日まで,亀田駅まで歩いて,新潟駅に行く予定でいた。しかし,15日の天気予報が思わしくない。雨の中を歩くのもなんなので,車で行くことに変更した。

 いつものように神様に旅の安全をお祈りして松の家を出た。7時30分,亀田バイパスは,ちょうど通勤ラッシュのピークである。「いつもこんなに混んでいたっけ?」などと話していたころには,渋滞に巻き込まれていた。道路表示板には,「新潟バイパス桜木IC付近で事故」との表示。おいおいおい,こんな時に限ってそれはないだろう。車は一向に進まない。多少の時間的な余裕は取ってあったが,これが「大丈夫かな」の始まりであった。(本当は,台風接近で日程を変更した時点が始まりだったかもしれない。)仕方がないので,姥ケ山ICで降りて新潟駅に向かった。

・大丈夫かな その2 東京駅で車両故障

 新潟駅のホームには,予定したMAXとき310号の発車5分前に到着した。座れないこともないが,次発の列車は,途中大宮駅にのみ停車であり,到着も10分しか違わない。せっかくだから,ノンストップで大宮までを経験してみようということで,とき312号に乗車した。

 コーヒーを飲みながらうつらうつらしていると,越後湯沢駅直前で車内放送が入った。「お客様にお知らせします。ただいま東京駅で車両故障のため,先行列車が停車しています。そのため,越後湯沢駅に臨時停車をします。・・・」おいおいおい,こんな時に限ってそれはないだろう。(2回目)30分遅れなら大丈夫,それ以上ならアウトだなと思った。iPadで八丈島行きの次の便の空席状況を確認した。まあ空席はあるようなので,どの時点で変更を入れるかが問題である。それにしても,移動先でいろいろな情報が得られることは,ありがたい。

 18分程度の遅れで,越後湯沢駅を発車した。このまま順調に進むとは考えられないが,上毛高原駅通過,高崎駅通過と何事もなかったように大宮駅に約20分遅れで到着した。上野駅前後で3回ほど臨時停車をしたが,東京駅には,22分遅れの11時05分に到着した。羽田出発まで1時間10分,間に合うだろう。

 そんなこんなで,搭乗手続きを終えて搭乗口に到着したのは,出発15分前の12時00分だった。

 飛行機が上昇すると,右手にかなり雪がとけた富士山が見えた。やがて,眼下に利島・新島・神津島を眺めながら南下した。かさ雲をかぶった八丈富士を右手に巻きながら八丈島空港を東側から着陸した。島の空港らしく,滑走路の端でぐるっと右回り方向転換をしてエプロンに着いた。ボーディングブリッジ1基の八丈島空港であった。

 到着ロビーには,「歓迎なでしこJAPAN」の横断幕を持った人たちがいた。後で分かったことであるが,大儀見選手らが2泊3日の予定で自主トレを行うようであった。2泊3日か。お帰りは5月16日(日)だな・・・。

 空港売店で本日の昼食,島ずしを購入した。




・大丈夫かな その3 八丈島一周道路東南部は,「危険!」

 島の足はレンタカーである。今回お世話になったのは,フリーダムレンタカーのダイハツムーブ。営業所で手続きの後,島の交通事情等についてレクチャーを受けた。「島の東南部は,細い山道です。あたりには人家がありません。携帯電話も通じません。行かない方がいいです。」と言い切って,地図上に大きな×を付けた。地図にも,赤字で太く「危険!」と書かれていた。行くなと言われても,そこからの八丈富士と八丈小島が絶景なのに・・・。と思いながらドライブはスタートしたのであった。

 とりあえず,八丈富士を一周する島の北側に進むことにする。13時30分を過ぎているので,おなかもすいてきた。近くの南原千畳岩に行って,島ずしを食べることにした。八丈小島を眺めながら,ちょっぴり辛めの島ずしをおいしくいただいた。


(南原千畳岩からの八丈小島)




 八丈富士を右回りに一周した。対向車もほとんどないが,道路はほぼ全線2車線で,よく整備されていた。東海汽船が一日1往復する底土港を過ぎ,いよいよ禁断の島東南部へと入る。道路は曲がりくねって1車線であるが,そんなに危険は感じない。枝折峠の方が大変だよなどと話しながら進むと,やがて登龍峠(とうりょうとうげ)に到着した。ここまで,約1時間の行程である。全体にぼんやりしているが,笠をかぶった八丈富士,その左に八丈小島,手前に底土港と八丈島の家々のパノラマが広がっていた。「大丈夫かな」ではあったが,本当に来てよかった。




(残念ながら三宅島は見えない)


 何か所かの展望台で海を眺めながら,八丈島一周を終えた。おおよそ2時間ほどのドライブであった。


(藍ケ江港を望む)



(八丈島灯台)


 八丈島歴史民俗博物館で,少々お勉強タイムとなった。以前の東京都八丈島支庁舎をそのまま利用したものである。懐かしい,木造校舎の香りがした。我々のほかに訪れる人もなく,静かに八丈島の歴史を語りかけてくれていた。

 
(元東京都八丈島支庁の正面玄関)


 この辺りは,美しい玉石垣の家々が見られる。玉石垣・ふるさと村に行ってみた。玉石垣が本当に美しい。漆喰などは使わず,石を組み上げただけだという。静かな集落をゆっくりと歩いた。




(あいだあいだに積み上げてあるので,一つの石を六つの石で取り囲んでいるように見える)


八丈富士と八丈小島が見える大坂トンネル展望台に行った。ここからも,絶景が見渡せるが,だいぶ空のぼんやり度が進んできたようだ。明日の天気予報は,曇りかな。




 スーパーで酒類やつまみ類をゲットして,本日のお宿「プチホテル満天望」に到着したのは,16時40分頃であった。






 このホテルの弱点は,お風呂が共同であること。入浴タイムは,16時30分から22時までとか。今がチャンスということで,さっそく一番風呂を独り占めした。ということで,Fさんもその後に入浴。でも,後で分かったこと,本日の女性宿泊者は,Fさん一人。もともと貸切状態だったわけだ。

 18時10分,夕食タイムとなった。八丈島産の魚を使った寿司がメインで,てんぷら,茶わん蒸し,明日葉そばなどが出てきた。もちろん生ビールで乾杯と相成った。せっかくだからということで,島産の芋焼酎などをロックで頂いた。元某ホテルで調理人だったオーナーシェフさんの味付けは,流石である。こうして,遠くで潮騒を聞きながら,夢の世界へと入っていった。


2015年5月15日(金)

・大丈夫かな その4 出発地悪天候のため,天候状況の確認

 洋食の朝食をいただいて,部屋でくつろいでいると,メールの着信音が鳴った。

「05月15日ANA1896便(3便)八丈島17:20発−東京/羽田18:20着は 出発地悪天候のため,運航に影響がないか天候状況の確認を行います。・・・」おいおいおい,こんな時に限ってそれはないだろう。(3回目)オーナーさんに尋ねると,「ああ,よくありますよ。」だとか。まじかよ。普通の曇りで風もないようだが,どこが悪天候?という状態である。WEBサイトで空席状況を確認すると,ひとつ前のANA1894便(2便14:20発)は,30席以上空いている。変更もありかな。

 じたばたしてもしょうがないので,散歩がてら近くの横間海岸に行ってみた。そこは,砂浜ではなく,丸い石がゴロゴロとしている海岸であった。トイレやバーベキューのかまなども整備されているが,泳ぐというよりも磯遊びが適しているような海岸であった。その丸い石。よく見ると枕のように細長くなっている。そうか,玉石垣は,これらの石を選んで組み立てたに違いない。波は結構荒いが,水の色は青みがかって透明感がある。




 遠く八丈小島はガスに包まれて見えない。もしかして,視界不良?チェックアウトして高台に出ると,八丈富士は,ガスに包まれていてほとんど見えない。空港の滑走路辺りにはガスがないが,すぐ上空までガスが降りてきている。いやな予感がしてきた。

 8時30分にホテルを出て,ガスに包まれた八丈富士に行ってみることにする。急な坂を上り始めると,すぐにガスが湧いてきた。山頂周遊道路に到着すると,もう辺り一面は濃い霧の中。とりあえずここに来たという証拠の写真を撮って,山を下った。




この霧が空港まで下りてきたら,今日の帰宅は無理ということになる。天気は下り坂なので,2便への予約変更をしようと空港に向かった。

 空港職員に全く危機感はなかった。「そうですね,現在天候調査中ですね。」飛べそうなのかどうかを尋ねても,明確な返事はない。そりゃそうだよね。下手なことを言えないもんね。「2便への変更ですね。変更しますが,もし2便が欠航するようですと,3便への変更が殺到しますよ。3便に乗れないこともあります。」てな調子である。最終判断は,11時頃だそうだ。ここはWEBサイトとにらめっこしながら対応することにして,2便への変更をした。

 残された滞在時間は,3時間ほどに短縮された。場合によっては,20時間以上の滞在延長の可能性もあるが,すべてはお天気任せである。
 東京電力の地熱発電所地熱館の見学に向かった。今が今だから,何とも親切に対応していただいた。地熱発電所,ずいぶんと簡単に考えていたが,ずいぶんと奥が深いんだ。裏見の滝を見学をしたりして,八丈島の自然を堪能した。


(裏見の滝,まあただの雨宿り)


・大丈夫かな その5 くさや初挑戦

 さあ,くさやだ。前日の晩,満天望のオーナーさんに,おいしいくさやの店を紹介してくださいとお願いした。岐阜県出身というオーナーさん「くさやですか。あれば罰ゲーム以外の何物でもありませんよ。あるお客さんが,この食堂で開封したんですよ。それはそれは大変なことになりました。」だと。

 そんなことを言っても,ここまで来てご対面しないわけにはいかない。満天望のオーナーさんに紹介をしていただいた「藍ケ江水産」に向かった。倉庫のような広々としたところにテーブルとお土産が並んでいる。11時30分と少々早い時間であるが,くさや単品,金目鯛の煮つけ定食,漬け丼定食を注文した。八丈島のくさやは,あまり臭わないという。想像していたほどではないが,けっこう臭う。少々しょっぱいかなと感じながら,いただいた。あっと驚くようなうま味は感じることができなかった。癖になる味ということであるが,さてどうだろう。お土産の焼くさやで練習してみよう。




(くさや君登場,いい香りを醸しています)


 くさやは,家で焼くと近所迷惑になるので,お土産は焼いたくさやをパック詰めや瓶詰にしたものが売られている。物珍しさと練習用にたくさん購入した。二日間付き合ってくれたムーブ君に満タンのガソリンを入れた。1リットル185円という驚くべき島料金にも驚かず,八丈島空港に向かった。

 さて,飛行機であるが,12時を過ぎても,WEBでは「天候調査中」である。羽田発の便も「天候調査中」である。それはないでしょう。もう搭乗時間なのに。空港駐車場でレンタカーを返却し,チェックインをすることにした。羽田発の飛行機は,条件付き飛行で天候によっては引き返すということだそうだ。「まあ,2・3回着陸のチャレンジをしてもらいます。」ANA地上女性職員は,慣れたものである。


(悪天候という,穏やかな八丈島空港)


 搭乗まで時間があったので,空港付近を散策した。そろそろ2便が到着するという時刻になったので,滑走路脇に行ってお出迎えとなった。しばらく待っていると,滑走路の誘導ランプが点灯した。(やった,そこまで来ているぞ)そして,やってきましたエアバスA−320,霧の中から煌々とライトを照らしながら降りてきたのである。(パチ・パチ・パチと心の中で拍手した。)


(来てくれてよかったJA−8394。実は,この飛行機,3回目の搭乗となった。お久しぶりです。)


 朝の時点で30席以上の空席があった2便は,満席であった。多くの人が2便に変更したのであろう。二日間でほとんど観光客に会わなかったが,こんなに大勢いたんだね。

 ここからは,これまでの「大丈夫かな」を挽回するように,非常にスムーズな帰路となった。空港モノレールは,一番前の席が空いていて,着席するとすぐに出発した。ジェットコースターのような眺めを楽しみながら浜松町駅に着いた。浜松町駅では,すぐに到着した電車に着席することができた。東京駅新幹線ホームには,この日運転すると時刻表にも載っていないMAXとき377号が,待っていた。乗車と同時に発車という具合である。


 こうして,くさやを求めて600q,大丈夫かなの旅は無事終了したとさ。 めでたしめでたし。


 後日談 5月15日の3便は,予定通り運航した。(欠航していれば,搭乗便の変更が快挙だったのに・・・と思う小心者の悪魔の心ががっかりしていたということは,内緒にしておこう。)
 ところが,その翌日5月16日は,天候不良により,全便欠航となった。ということは,2泊3日の予定で自主トレしていた大儀見選手は,・・・。彼女のブログには,「今日は飛行機飛んでくれるかな。すべてを運命と思えると,自然とポジティブになれるんだよね。素晴らしい贈り物をありがとう。」とつぶやいていた。さすが一流アスリート,小心者の悪魔の心とは格段の違いがある。


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