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大連の旅 その2 2015.10.21〜23

2015年10月22日(木)

 本日の午前中は,旅順の半日ツアーを計画していた。

 旅順は,日露戦争での激しい攻防があったところである。現在も中国の軍用施設が多く,最近になっていくつかの場所が外国人旅行者に開放された。そんなこともあり,外国人が自分たちだけで行くのは難しいそうだ。こんなところで,意味もなくスパイ容疑で拘束されてもつまらないから,一人550元で専用車による半日ツアーを依頼した。大連賓館を案内してくれた人も,自分たちだけで旅順へは行かない方がいいと話していた。

 日本語ガイド兼ドライバーの姜さんは,小学校1年生の子供がいるママさんだった。車は,ニッサン車で,旅順までは1時間弱の行程であった。


東鶏冠山北堡塁(ひがしけいかんざん きたほるい)

日露戦争の激戦地である。ロシア側の防御要塞跡である。現在も砲弾跡が生々しく残されている。ここで,日本兵の死傷者は9000人を超え,ロシア軍もほぼ全滅したという。


砲弾の跡が今も残っている




石柱で支えられているところが,日本軍の突破口




要塞内部







士兵宿舎 中央の溝の部分に,二階の床があった。




日本軍が占領してから弾薬庫として使われた場所




ゴミ箱も砲弾とは・・・




水師営の会見所

♪旅順開城約なりて,敵の将軍ステッセル,乃木大将の会見の,所はいずこ水師営♪




 ひなびた山の中を想像していたが,中層アパートが立ち並ぶ街中にあった。

 文化大革命時に取り壊されたものが,1996年に復元されたものだという。水師営専属の女性ガイドさんから説明を受けた。日本側の控室となった右側の部屋には,当時の様子を伝える写真などが掲示されていた。





 ロシア側の控室で会見場となった左側の部屋には,大きな机とそれを挟んだ長椅子だけが置いてあった。おそらくすべてが複製品であろう。

 この会見場の奥には,小さな棚があり,その場には不似合いないろいろな玉,時計,琥珀などが置かれてあった。この専属ガイドさん,初めは戦争当時の様子を詳しく説明していたが,いつの間にか,玉・時計・琥珀などの販売へと話が移り変わっていた。「ここへは,日本人の観光客しか来ない。少ない日本人の観光客のために,私たちは頑張ってここを保存しているが,何分予算が少ない。ここにある玉や時計琥珀など,一万円で買ってもらうとこの施設の保存にも役立つ。無理にとは言わないが,よかったらお願いしたい。」

 実は,このような話に展開していくことは,知っていた。JTB日帰りツアーの口コミ欄に,全く同じことが指摘されていたからである。品物は,欲しければ頭を下げても買うが,欲しくないものはお願いされても買わない主義である。それにしても,本物かどうかも怪しいものを一万円で売ろうとする・・・買う人もいるんだろうなと,興ざめしながら考えていた。



♪庭に一本棗の木 弾丸あともいちじるく 崩れ残れる民屋に 今ぞ相見る二将軍♪

三代目の棗の木だとか。




二0三高地

 標高203mということで,この名がついたという。中腹の駐車場から,舗装路を10分少々徒歩で登る。



 山頂には,砲弾型の慰霊碑「爾霊山(にれいさん)」がある。
 これは,乃木大将が戦死者を弔うために建立したという。






 この山頂からは,旅順港がよく見える。多大な犠牲と引き換えに占領し,ここから旅順港に停泊しているロシア艦隊を壊滅させたという。まさに,軍事上の重要地点であったことがよく分かる。日露戦争大勝利などと,ちょうちん行列をしていた裏側には,このような歴史的な場所があったこと,多くの悲しみがあったことを忘れてはならない。




 心に重いものを残しながら,昼過ぎに大連に戻った。



 依然として,iPhone の地図は,正しい場所を示さないが,再び町散策に出かける。最終目標は,旧そごう香港系列を引き継いだ,大連久光百貨店。ここは,日本の食材などもたくさんそろっているという。

 まず,大連駅前まで歩く。そこから,大通りの中山路を横切る。この中山路は,片側三車線の主要幹線になっており,地上の横断はできない。地下通路を渡ることになるが,ここが地元で有名な「勝利広場」と呼ばれる超迷路地下街になっているという。インターネットの情報によれば,地下4階まであり,ちょっとしたことで方向を見失うと,大変なことになるという。実際,ここ抜けるために,2時間もかかった人もいるという。雑多な商品が,所狭しと並べられた同じような店が四方八方に広がっている。内部で3回ほど曲がって,目的地に到達した。商品などを眺めながら歩いていると,迷宮に入り込むこと間違いなしである。

 多少回り道をしながらも,無事に大連久光百貨店に到着した。店内はやや古いが,百貨店の名の通り,ゆったりとした商品配列である。

 この百貨店内の台湾料理店「ゼロスペース」で,遅い昼食となった。メニューに日本語表記もあり,スープ,チャーハン,台湾風焼きそばなどを青島ビールとともに頂いた。チャーハンも焼きそばもおいしいのだけれど,量が多すぎという感じであった。満腹満足ということで,デパ地下散策に行った。割と狭めの売り場であったが,日本食品や食材がたくさんあった。現地生産の中国パッケージバージョンの出前一丁などを購入した。

 中山路を通り,中山広場を経由してホテルに戻った。ホテルの中に,ローソンがあったので,ここでもいくつかの面白お土産をゲットした。




 夕食の時間になったが,まだまだおなかがいっぱいなので,夕食予定の四川料理はやめることにした。

 日も暮れかかり,雨模様になってきたが,旧満鉄本社を見に行っていないので,出かけることにした。中山広場の歴史的建造物はきれいにライトアップされていた。そこからしばらく歩いて,旧満鉄本社(大連鉄道局)に着いた。昼間で事前予約すれば,内部見学も可能だそうだ。


中央が,ライトアップされた大連賓館




旧満鉄本社




小雨に煙る大連の二日目の夜が更けていった。



つづく

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